【食材のこだわり】おせちの予約、はじまりました【しげよし】

2017/10/28

 
早いもので、もう2017年も残すところあと2カ月余り。いよいよ、2018(平成30)年戌年がやってまいります。新しい年の幕開けを飾るのは、おせち。私どものおせちの予約も始めさせていただきました。今回は、おせちの由来や歴史についてご紹介いたします。
 
■おせちのはじまりは奈良時代の宮中行事にさかのぼります
 
御節(おせち)とは、「正月や節句のお祝いに食べる煮しめ料理」のことです【岩波書店:広辞苑第6版P398より】。
おせち料理の歴史は古く、奈良時代の宮中行事で行われた宴料理にまでさかのぼります。古代、朝廷で、節日その他公事(くじ)のある日に行われた宴会を「節会(せちえ)」といいました。この日は、みかど(天皇陛下)がおでましになられ、お酒やお食事を臣下にふるまったといわれています。節会は、元日、白馬(あおうま)、踏歌(とうか)、端午(たんご)、重陽(ちょうよう)、豊明(とよのあかり)、任大臣(にんだいじん:大臣に任命すること)などのときに行われました。
 
■おせち料理は元来、高貴な方のための料理でした
 
元日は、1月1日のことです。白馬(あおうま)は1月7日に、紫宸殿(ししいでん:平安京内裏の正殿)で左馬寮(さまりょう:右馬寮とともに馬の飼育などをつかさどった役所)・右馬寮(うまりょう)で飼われていた白馬をみかどにご覧いただき、臣下に宴を賜った儀式です。大切に愛でられた神聖な白馬を見ながら、天皇陛下と臣下がお酒を飲み、お食事をしていたのですね。
踏歌(とうか)には、1月14日に行われる男踏歌と1月16日に行われる女踏歌があります。どちらも足を踏みならして歌い、舞うものです。古代版EXILEとE-girlsみたいなもので、日本人は古来より、歌と踊りを愛していたことがわかります。
端午(たんご)は5月5日に行われる端午の節句で、男子の健やかな成長を祈願して行われておりました。
重陽(ちょうよう)は9月9日に行われる菊の節句です。陰陽思想では、奇数は陽の数です。そして、奇数の重なる月日は陽の気が強すぎるため不吉とされ、邪気を払うために節句が行われました。中でも、一桁の数のうち最大の「陽」であり、特に負担の大きい節句と考えられていた9が重なる9月9日は、邪気を払い長寿を願って菊の花を飾ったり、菊の花びらを浮かべた酒を酌み交わしたりして、凶事が起こらないよう祈りました。
豊明(とよのあかり)は新嘗祭(にいなめさい:現在は11月23日)の翌日の辰(たつ)の日、みかどが紫宸殿で収穫されたばかりの穀物をお召し上がりになり、臣下にも諸臣にも賜った儀式です。宴ののちに舞や歌があり、臣下に群臣に禄(ろく:仕官している者に対し、その生活のかてとして給与された金銭・物資など)を賜わり,長く官職にあった者や特に功績のあった者などにご褒美を与える叙位(じょい)も行われました。
このような宮中行事のたびに、みかどと臣下などが食べていたのがおせち料理です。料亭などのおせち料理が豪華なのは、高貴な方々が召し上がっていた時代の名残といえるでしょう。以前、会席料理と懐石料理の違いについて、「料理を一定のしきたりに従って配膳する形式や食事の作法が成立したのは、平安時代以降だといわれています」と記しましたが、おせち料理は会席料理の進化に伴って発展してきたのです。
 
■おせち料理が一般家庭に浸透したのは江戸時代からです
 
江戸後期に書かれた古典文学作品「傍廂(かたびさし)」によりますと、もともと宮中で食べられていたおせち料理が一般家庭に浸透していったのは、江戸時代初期からだといわれています。この頃、江戸幕府が公式行事として五節句を制定し、五節句のたびにおせち料理を食べるようになりました。五節句は、1月7日の七草の節句、3月3日の桃の節句(雛祭)、5月5日の菖蒲の節句、7月7日の七夕(たなばた)、9月9日の菊の節句です。おせち料理を節句料理というのはこのためです。
その後、五節句のうち、最も重要でおめでたいお正月の料理が「おせち」として浸透していったと言われています。
 
■お重に詰めるようにうなったのは明治時代以降から
 
 重箱は室町時代からありましたが、当時は高貴な方のためのものでした。重箱が武家や一般人にも使われるようになったのは、江戸時代のことです。
重箱におせち料理を詰めるようになったのは、お年賀にいらっしゃるお客様にも振る舞いやすくするとともに、蓋をすることで保存をしやすくするためだといわれています。
また、年の最初に食べるおせち料理では、縁起担ぎが最も重要です。重箱に詰めることにより、幸せを重ねる、福を重ねる、おめでたさを重ねるなどの願いを込めます。
 

古来より、日本人に愛されてきたのがおせち料理。私どもも、新しい年が皆様にとって素晴らしいものでありますようにとの願いをひとつひとつのお料理に込めて、大切におせち料理をおつくりさせていただきます。
次回は、おせち料理のそれぞれの御献立に込められた意味についてご紹介させていただきます。