【お盆のお話】お盆の由来とマナー【しげよし】

2018/07/31

 
今年も、お盆が近づいてきました。皆様は、どのようにお過ごしになりますか。
 
お盆は、ご先祖様が家に帰ってくる日といわれています。家族揃って、ご先祖様の霊を供養する日です。なじみ深い日本の伝統行事ですが、その由来をご存知でしょうか。お盆は、正式名称を「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といいます。この「盂蘭盆会(うらぼんえ)」の語源をたどると、興味深い話がありますのでご紹介いたします。
 
202松華堂
 

■お盆の由来
 
「盂蘭盆会(うらぼんえ)」は、サンスクリット語(古代インドの言葉)のウランバナからきています。ウランバナとは「逆さ吊り」という意味の言葉で、盂蘭盆会は「逆さに吊るされたような苦しみを除く」という意味になります。
「逆さに吊るされたような苦しみ」・・・なんだか考えただけでもぞっとしますね。一体これは何のことでしょう。
 
お釈迦様の弟子に、目連尊者(もくれんそんじゃ)という僧侶がいました。目連尊者の母は、生涯にわたって他人のことを思いやることをしない人でした。その母は死後、餓鬼(がき)の世界(飢え、苦しみの世界だといわれています)へと堕ち、逆さまに吊るされ苦しむこととなりました。
目連尊者は神通力(不可能なことを成し遂げる特殊な能力)で、そんな母の姿を目撃してしまいました。死後の母に食べ物や飲み物を与え、少しでも苦しみから解放させてあげようとしましたが、それは母をさらに苦しめる結果となってしまいます。
お釈迦様に相談すると、「僧侶の夏の修行が終わる7月15日に僧侶を招きごちそうを振る舞い、供養すれば母を救うことができるであろう。」と言われました。その教えのままにしたところ、その功徳によって母は極楽往生を遂げることができました。
つまり、お釈迦様は、「自分の母だけでなく、餓鬼の世界に堕ちてしまった沢山の人を救う気持ちで供養しなさい。」と諭したのです。
 
お釈迦様は、目連尊者がしたのと同じように、7月15日にいろいろな飲食を盆にもって、仏や僧や大勢の人たちに供養すれば、その功徳によって、多くのご先祖が苦しみから救われ、今生きている人も幸福を得ることができると説きました。
このエピソードが、「逆さに吊るされたような苦しみを除く」という意味をあらわす「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と結びつき、旧暦の7月15日、現在の8月15日がお盆と呼ばれるようになったそうです。
 
日本でのお盆の起源は古く、600年代、推古天皇の時、僧や尼を招き、食事や様々な仏事を行った「斎会」といわれる行事からだといわれています。まさに、日本古来の信仰と宗教が結びついて定着した日本の伝統行事なのです。
 
18夏_206_長手二段御膳_0110切り取り
 

■お盆のマナー
 
お供え物などのマナーは、それぞれの地域、ご家庭、宗教でかなり異なるようですが、ご先祖様をお迎えして、おもてなしするという基本的な考えには変わりはありません。
ここでは基本的なマナーをご紹介しておきます。
 
仏壇に灯す明かりやお線香、故人の好きだったお花や食べ物、清浄な水などのお供え物は一般的に「五供(ごく)」と呼ばれる基本的なお供え物ですが、故人の好きだったものを中心に、心のこもったものを選びます。お供え物には、「のし」や「掛け紙」をつけます。水引は一度きりの意味合いで、「結び切り」を使います。
少し気を付けた方がいいのは、仏教では、お盆のお供え物は、殺生に通じる肉類や魚介類は避けた方が無難です。神道では気にしなくていいようです。また、薔薇のようにトゲのあるお花や、宗教によってはお酒やコーヒー、煙草などもふさわしくないといわれることがありますが、故人が好きで思い入れがあれば、喜んでお供えする場合もあるようです。
 
お盆の期間は、お仏壇のお供え物を絶やさないようにします。頂いたお供えは開封せず、箱のままお供えするのは失礼にあたりますので、お供え物を仏壇にあげる時には、お供えしたものがどんなものかご先祖様がわかるように、また、すぐに食べられる状態でお供えします。
また、長時間お供えしたままにせず、時期が来たら下げるといった心配りが大切です。お供え物は、朝供えたら午前中には下げ、それを家族でいただくのが本来のやり方です。お供えした食べ物をご先祖様と「一緒にいただく」という意味もあるからです。ご先祖様と一緒にいただくことも供養になるのです。
お盆にいただいたお菓子やフルーツも、ご挨拶に見えたお客さんにお出ししても問題はありません。もしお仏壇にあげた食べ物を食べることに抵抗があり、処分するとしたら、白い紙に包み清めて処分します。もし処分しても、いただいた人とご先祖様への感謝の気持ちを忘れないことが大切ですね。
 

「盂蘭盆会(うらぼんえ)」の由来にあったように、お盆は、故人やご先祖様を供養することで、ご先祖が苦しみから救われ、今生きている人も幸福を得ることができるという意味があるものでした。故人に感謝をすることで、現世の私たちも幸せになれるという考えは、ご先祖様あっての自分ということに改めて気付かされ、謙虚な気持ちにさせられます。
普段はなかなかご先祖様を意識し、感謝するということはないですが、お盆のひと時、故人、ご先祖様に思いを馳せてみたいものですね。
 

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