【四季折々】おせちについて【しげよし】

2018/11/26

おせち料理は、お正月に欠かせない日本の伝統です。その歴史をたどると、日本人の美しい心がみえてきます。
今回は、おせち料理の歴史をご紹介いたします。どうぞ色鮮やかに感じ取ってみてください。

 

■おせち料理の起源

 

時は紀元前3,4世紀、弥生時代。この時代に、稲作が始まり、日本人はお米を食べ始めました。
稲作が始まると、自然により収穫が左右されましたので、自然に対する畏敬の念、収穫に対する感謝の念が強くなり、節目ごとに神に感謝する行事が行われました。
時を経て、中国から、季節の変わり目を「節」「節日」という暦が伝わってきました。中国では、この日は邪気を払う日とされていました。
この影響で、奈良時代や、平安時代には、「節日」に、邪気を払い、不老長寿を願う「節会(せちえ)」という宮中行事が行われました。
この「節会」の中でも、特に重要だとされたのが、五節会(ごせちえ)です。
五節会は、正月の1日を元日,7日を白馬(あおうま),14,16日を踏歌,5月5日を端午,11月の中の辰の日を豊明(とよのあかり)とし、この日は天皇からお酒が群臣に振舞われました。
五節会が、宮中の儀式だったのに対し、公家以下の庶民は、「五節句」という行事を行いました。
五節句は、1月7日の人日(じんじつ)、3月3日の上巳(じょうし)、5月5日の端午 (たんご)、7月7日の七夕(しちせき)、9月9日の重陽 (ちょうよう)でした。
これが、鎌倉時代にはいると、宮中でも行われるようになり,江戸時代には幕府により式日として定められるようになりました。
1873年に制度としては廃止されましたが,現在でも、上巳や端午,七夕の行事が継承されていますね。
こうした行事には、神に供する食物「節供(せっく、せちく)料理」が用意されました。
これが、現在の、元日のおせち料理、正月15日のかゆ、3月3日の草餅、5月5日のちまきとして残っているのです。

 

■おせち料理の意味

 

新年を迎える大切な正月の節日に神様に供するのが、おせち料理の始まりですので、おせち料理一つ一つには、大切な意味が込められています。
また、おせち料理は、「めでたさを重ねる」という意味で重箱に詰められます。春夏秋冬の四季を表す四段重を正式とする説と、これに、もう一段重ねる五段重を正式とする説がありますが、ここでは五段重をご紹介します。
各段ごとに詰める料理の簡単なルールと、それぞれのお料理に込められた意味をご紹介いたします。

 

お重の一番上にくる「一の重」には、祝い事にふさわしい祝い肴と口取りを詰めます。口取りとは、酒の肴になる甘めのお料理です。

 

数の子(ニシンの子供で、卵の数が多いことから子孫繁栄を願います)
田作り(ごまめとも言われます。イワシの稚魚の佃煮で、いわしを肥料にすると豊作だったことから、五穀豊穣を願います)
黒豆(邪気払いと、マメに、勤勉に働けるよう無病息災を願います)
ちょろぎ(黒豆にそえられます。長老喜と書き、長寿を願います)
たたきごぼう(ごぼうは地中に深く根を張ることから、家の基礎が堅牢であることを願います)
紅白かまぼこ(形状が、日の出に似ていること、紅白だという縁起物です)
伊達巻(巻物に見えることから、学問文化教養に対する知識が増えるようにとの願いが込められています)
昆布巻き(「こぶ」は「よろこぶ」の語呂合わせとして、縁起物とされました。伊達巻同様、巻物ということから、学問や教養も願います)
栗きんとん(金銀財宝を表したものと解釈され、豊かな1年、金運上昇を願います)
錦卵(黄身と白身の2色が金と銀に例えられ、おめでたい縁起物とされています)

 

二段目の「二の重」は、縁起のいい海の幸を中心に焼き物を詰めます。

 

鰤(ブリは成長と共に名前が変わる出世魚と言われていますので、出世を願います)
鯛(「めでたい」に通ずる縁起物です)
海老(長いヒゲがあり、腰が曲がってるのがエビなので、長寿を祈願します。脱皮もするので出世も願います)

 

三段目の「三の重」は、山の幸を中心に、家族が仲良く結ばれるように煮しめを入れます。

 

酢蓮(レンコンには穴が多数あるから、将来の見通しがきくように願います)
里芋(子芋がたくさんつくことから、子孫繁栄を願います)
くわい(大きな芽が出るという縁起物であると同時に、出世を願います)
八ツ頭(頭となって出世することと、たくさんの子芋ができることから、子孫繁栄を願います)
たけのこ(天に向かって真っすぐに育つことから、健やかな子供の成長や出世を願います)
手綱こんにゃく(手綱を引き締めて行くようにと願いを込めて、こんにゃくを手綱に見立てて、作ります)
陣笠椎茸(しいたけは、笠の形を陣笠に見立て、陣笠しいたけと呼ばれ、神様へのお供えとして健康、元気、壮健への願いがこめられた高級食材でした)

 

四段目は、忌み数字とされている「四」は使わず、「与の重」とします。日持ちのする酢の物などを詰めます。

 

紅白なます(紅白の水引にあやかり、平安や平和を願います)
菊花かぶ(おめでたい菊の形に飾り切りし、紅く染めて、紅白の縁起物とします)
小肌栗漬け(小肌はコノシロという魚の成魚になる前の名前です。出世魚なので将来の出世を願い、黄色に染められた粟で、五穀豊穣を願います)

一番下の五の重は、年神様から授かった福を詰める場所として空にしておくか、家族の好物や予備の料理などを入れます。

おせち料理は、新たな一年がより良い年になることを願いながら、年神様と共に食するお料理です。おせち料理を前にすると、何故か敬虔な気持ちになるのは、目に見えない年神様がいらしているからなのかもしれませんね。
来年が、皆様にとりまして素晴らしい年となりますよう、お正月には是非ご家族お揃いでおせち料理を召し上がって下さい。