【四季折々】お盆について【しげよし】

2022/08/11

■「お盆」と「お盆休み」の関係とは?

 

 

祖先の霊を祀り、故人が生前を過ごした場所、主に自宅でお迎えし、再び戻っていくあの世での幸せを祈る「お盆」。

正式名称は、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といいます。日本で最初にお盆が行われたのは、推古天皇が606年に行った「推古天皇十四年七月十五日斎会」といわれており、かつては上流階級の間でのみ、執り行われてきました。

 

江戸時代に、供養に欠かせないろうそくが手軽に入手できるようになったことから、庶民の間でも盆が全国的に広まりました。

 

お盆の期間は、一般的には新暦の8月13日~16日の4日間の場合が多いですが、一部地域では、旧暦の7月13日~16日で行われます。

 

また、沖縄県では8月中旬~9月上旬に行う場合もあり、地域によって異なります。いずれも7月8月の両方でお盆をしなければいけないということはなく、どちらかの月で年1回行われる行事です。

 

仏事におけるお盆が地域によって期間が異なる一方、「お盆休み」は全国共通で、「旧盆(8月盆)」を基準に決められる場合が一般的です。2022年の場合は、8月13日〜16日がお盆休みの基準となり、多くの企業が休日として指定しています。

 

■ご先祖様を迎え、供養し、送る

 

 

お盆は地域によりさまざまな風習がありますが、以下、一般的な内容を紹介します。

・お墓、仏壇の掃除
お盆の前に、お墓、仏壇の掃除をすませます。地域によっては盆提灯を用意します。
ナスやキュウリで作った精霊馬や精霊牛(ご先祖様があの世とこの世を行き来するための乗り物)なども用意し、ご先祖様を迎える準備を行います。

ちなみに、精霊馬には、「馬に乗って早くきてください」、精霊牛には「牛に乗ってゆっくり帰ってくっださい」という意味がこめられています。

・法要、お墓参り
お盆の期間中は、法要やお墓参りを行い、ご先祖様を供養します。

お盆初日の夕刻に「迎え火」を焚き、ご先祖様をお迎えします。お盆の間、ご先祖様は精霊棚に滞在すると考えられています。果物やお膳などをお供えし、供養します。お盆最終日の夕方、暗くなったら「送り火」を焚いて送り出します。

現在は、「迎え火」や「送り火」のかわりに電気式の盆提灯がよく使われています。

 

■大文字焼きに精霊流し。日本の有名なお盆行事

 

 

お盆の行事は地域によってさまざまですが、中でも特色のあるものを紹介します。

・舟っこ流し(岩手県)
岩手県盛岡市で藩政時代から伝えられている送り盆の慣習。遺影や故人の戒名を書いた札などを舟にはり、北上川に流します。

・遠州大念仏(静岡県)
静岡県浜松市を中心に開催されるお盆の行事。初盆を迎えた家を回り、太鼓の音などに合わせ念仏踊りをします。

・大文字焼き(京都府)
お盆に行われる京都の伝統行事。お盆に帰ってきたご先祖様の魂を再びあの世に送り出す「送り火」と同様の意味があります。

・綱引き(福岡県)
福岡県筑後市の熊野神社では、毎年8月14日に、全身にすすを塗って黒鬼に扮した子どもたちが大綱を持って町内を引き回します。

・灯篭流し(長崎県)
亡くなった人の霊を精霊船にのせておくる灯篭流し。中でも、長崎県江迎町で500年以上にわたり続いている「江迎千灯篭まつり」が有名です。夕方になると、約1万個近くの灯篭が灯されます。

 

■「盆踊り」の由来、知ってる?

 

 

お盆といえば、「盆踊り」。盆踊りの由来は、仏教における「念仏踊り」だとされています。念仏踊りとは、自分自身で念仏を唱えながら踊るもの。これらの民俗芸能がお盆と結びつき、現代の盆踊りとなったと考えられています。

 

盆踊りは、ご先祖様のおもてなしをするという意味合いのほかに、地域の人々の交流の場として、気軽に参加することができます。

 

日本各地の盆踊りの中で、特に有名なのは、

・ 徳島県の阿波踊り(8月12日〜15日)

・ 秋田県の西馬音内の盆踊り(8月16日〜18日)

・ 岐阜県の郡上踊り(7月中旬〜9月上旬)

 

以上の3つです。中でも徳島県の阿波踊りは、踊り子や観客数、規模に関して日本一の盆踊り。

1804年〜1830年、文化文政年間に徳島の商人たちが盛んに踊るようになったことで、現代にも引き継がれています。

阿波踊りの期間は、太鼓や三味線、篠笛などの伴奏により踊り子たちが徳島市街を踊り歩きます。「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損」というフレーズも有名で、街全体が熱気に包まれます。

 

■お盆の最終日、何をすればいいの? 終わったらどうすればいい?

 

 

お盆期間、初日は迎え火でお迎えをするのが通例ですが、最近は迎え火が難しくなってきているケースも多く、その際は盆提灯を掲げ、ご先祖様を出迎えます。

 

お墓参りやご先祖の供養を行い、最終日には送り火を焚き、もしくは盆提灯を掲げご先祖様のお見送りをします。

 

盆飾りは、お盆が終わってから片付けます。

お盆の最終日や翌朝と地域によって片づけるタイミングは異なりますが、さげた食べ物は、食べられるものは家族で頂きます。

生けたお花や処分が必要なものは、お清めの塩を振り、半紙などに包んで処分処分します。翌年も使う飾りなどは、汚れをよく落としてから片づけておきましょう。

 

今の自分があるのは、ご先祖様があってのこと。お盆になると、ご先祖様はあの世から戻ってきます。日頃の感謝を表し、温かく迎え入れたいものです。