【食材のこだわり】むらさきに輝く、醤油【しげよし】

2017/06/28

食材、お料理がどれだけよくても、醤油が悪ければお料理が台無しになってしまうくらい重要な調味料が「醤油」です。古くから日本の食卓を鮮やかに彩ってきた「醤油」について、大手メーカーの「ヤマモリ株式会社」様に、そのこだわりや美味しさについて教えていただきました。
 

■ヤマモリは1889年創業の老舗大手メーカーです
 
ヤマモリの歴史は1889(明治22)年、初代社長の三林専太郎氏が三重県桑名市でしょうゆ醸造業をおこしたことにさかのぼります。伝統の醸造方法を守りながら、「美味しく、健康に」を合い言葉に、常に技術革新を行っていらっしゃいます。さらに、1974(昭和44)年にはじめてのレトルトパウチ食品「釜めしの素」を世に送り出したり、2000(平成12)年にレトルトのタイカレーをいち早く販売してタイフードブームの先駆けになったりと、常にチャレンジして新しい価値を創世されているその姿勢は、「かけがえのないひとときのために、ご期待以上の品質を」提供させていただきたいと考えている、私どもしげよしと同じもの。お手本にさせていただきたいといつも考えております。
 
醤油1
 
■醤油には5つの基本味がバランスよく含まれている
 
そして、ヤマモリがつくるのは、日本を代表する調味料「醤油」。醤油は、大豆、小麦、麹菌、塩、水などからできています。大豆や小麦が、醸造期間中にさまざまな成分に生まれ変わり、それぞれが作用しあって「むらさき」とも呼ばれる美しい色、ふくよかな香り、奥行きのあるうま味が誕生するのです。
【食材のこだわり】お出汁の魔力その1【しげよし】にて、5つの基本味についてお話しいたしましたが、醤油にはうま味、塩味、甘味、酸味、苦味がバランス良く含まれています。
 

■「美味しく、健康に」を実現したのがヤマモリの「減塩醤油」
 
 一般的な醤油には、海水の約5倍の塩分が含まれています。にもかかわらず塩辛く感じないのは、醸造過程で生じるアミノ酸や乳酸が塩味を和らげ、深みのある旨味を作りだしているからです。塩分と旨味が調和するのが醤油です。
 とはいえ、塩分の摂取量を気にしていらっしゃる方にとっては、醤油の塩分がネック。そこで、ヤマモリが開発したのは「減塩だけどおいしいしょうゆ」「おいしさそのまま 減塩しょうゆ」などの減塩醤油です。
減塩醤油には、確かに塩分は少ないけれど、塩味によって生まれる旨味も少なくなってしまっているものもあります。ヤマモリの減塩醤油は、塩味はそのままに、塩分(ナトリウム分)のみを大幅にカットしています。
減塩なのに旨味はキープし、美味しさを犠牲にしない醤油を開発するのはかなり難しかったとのことですが、「美味しく、健康に」と掲げた目標を達成するために邁進し、必ず実現される。この姿勢は本当に素晴らしく、私どももぜひ見習わせていただきたいと思っております。
 
醤油2
 
■ギャバを日常的に摂取できる「ギャバ醤油」
 
「美味しく、健康に」という目標のため、ヤマモリが考えたもうひとつの醤油が「ギャバ醤油」です。
GABA(ギャバ・健康に役立つアミノ酸)には、血圧の上昇を抑える効果があるといわれています。ギャバが入ったチョコレートや飲料なども多く売られていますが、日本人にとって最も身近な調味料「醤油」でギャバをもっと摂取して、お客様に健康になっていただきたいという気持ちが込められています。
ギャバ醤油には「本醸造ギャバ醤油」などがあり、醤油の中に高濃度のギャバを自然に生成させる独自技術(製法特許取得)で作られています。「美味しく、健康に」というスローガンが、隅々まで行き渡っているのですね。

醤油3
 
■酸化しにくい容器にもこだわっています
 
 発酵食品である醤油は、空気に触れると少しずつ酸化が始まり、旨味がだんだんと落ちていってしまいます。いつまでもできたての美味しさをお客様に味わっていただくために、ヤマモリがこだわっているのが「スクイズボトル」。開封後も中身が空気に触れないので、味も香りも長期間劣化せずに品質が保たれます。また、容器をプッシュして使いたい量だけを出すボトルなので、醤油の使いすぎを防ぐことができます。「スクイズボトル」は「できたての美味しさをいつまでもキープする」とともに「美味しく、健康に」なれる容器というわけです。
 
醤油4
 
■こだわりが結集した醤油が「伊勢醤油」です
 
 伝統の製法へのこだわり、技術の革新、旨味の追求。これらが結集した唯一無二の醤油が、「伊勢醤油」です。
 古くから、三重県は「伊勢参り」に訪れる人をもてなす文化がありました。三重県に和食や和菓子の老舗が多いのは、日本の「おもてなし」文化のあらわれというわけです。そして、伊勢には参詣客をもてなした、
「御師」と呼ばれる神職がいました。地方から集まる人々を食でもてなし伊勢神宮へ案内する、現代で言うツアーコンダクターの役割を果たしていたそうです。
御師の料理は、伊勢の味を大切にしながら、遠来のお客様が好む味にもさりげなく寄り添う、調和のとれた味付けだったと言われています「そのときに使われていた醤油を再現したい」というのが、伊勢醤油開発のきっかけとのことです。
 
醤油5
 
■三重県産の大豆と小麦、そして仕込みにこだわりました
 
醤油の味の決め手となる要因のひとつに、大豆と小麦の構成比があります。濃口醤油は大豆と小麦が50:50、たまり醤油は大豆90:小麦10。古文書などを調べると、参拝客をもてなしていた醤油は、濃口醤油とたまり醤油のだいたい中間くらいの配合だったのではないか、ということがわかりました。
 大豆からは旨味とコク、小麦からは香りが生まれます。そこで、濃口醤油がもつ素晴らしい香りと、たまり醤油の旨味とコクを併せ持つ醤油を生みだそう、というところから、「伊勢醤油プロジェクト」は始まりました。
 単に濃口醤油とたまり醤油をブレンドするのではなく、仕込みから生み出す。そして、三重県産の小麦で、香りが強く出る「ニシノカオリ」と、三重県産の大豆で旨味が強い「フクユタカ」を使う。三重の素材を使用した、美し国(うましくに)・伊勢の自然が育んだ味わいを再現するというプロジェクトは、2年以上を要しました。
 
醤油6
 
醤油7
 
■旨味と香り、そして素材を生かす伊勢醤油の素晴らしさ
 
 試行錯誤を重ねて生み出された「伊勢醤油」は、まさに三重の地醤油。三重の素材と空気と土地だからこそできる醤油です。芳醇でふくよかな香り、そして旨味が重なり合ったような奥深い味わいが長く楽しめるコク。かといって醤油の味が主張しすぎることはなく、どんなお料理に使っても素材の味が生きて、素材をより美味しく仕上げてくれる。
その味わいが国際的にも認められ、2016年5月に開催された伊勢志摩サミットにて安倍総理大臣から各国首脳にもてなされたワーキングランチに伊勢醤油が使われました。
「伊勢醤油」はまさに、三重県の老舗・ヤマモリでなければ、企画・開発できなかった唯一無二の醤油です。この味わいはぜひ、しげよしのお客様にも味わっていただきたいです。
 伝統の技を生かしつつ、つねにお客様のことを一番に考えて、新しい技術も取り入れて進化させる。
 このヤマモリ様の姿勢は、私どもと同じです。見習わせていただきたいと常々考えております。
  
取材協力:ヤマモリ株式会社