【食材のこだわり】しげよしの野菜ときのこ【しげよし】

2017/08/01

 
春は筍、ふきのとう。夏はおくらに冬瓜。秋は松茸、冬は大根。日本は、四季折々の野菜にあふれています。また、その土地で古くから作られてきた「伝統野菜」もあります。しげよしの、野菜ときのこに対するこだわりをお話しします。
 
■四季折々の野菜がお料理を彩る大切な要素です
 
野菜をお料理に使う理由としては、ビタミンや食物繊維が豊富に含まれていて健康にいいことが挙げられます。ビタミンには主に13種類あり、そビタミンCや、緑黄色野菜に多いβ‐カロテンには発ガン物質が体内で作られるのを阻止する働きがあります。また、ビタミンA、C、E、ポリフェノールなどの栄養素には、体内の細胞や組織を酸化させて生活習慣病の原因となるといわれる「活性酸素」の発生を抑える作用があります。食物繊維は「腸の掃除役」として知られ、生活習慣病の予防に役立ちます。
さらに、四季折々の野菜の色や香りは、お料理に華やぎを出してくれることも挙げられます。「桜人参」「いちょう大根」などの飾り切りをあしらうと、華やかさも演出できます。刺身のわさびはきゅうりなどに載っていますが、それは「わさび台」という飾り切りです。
和歌や俳句では「季語」(特定の季節をあらわす言葉)を詠みますが、水菜は初春、タラの芽は仲春、山葵は晩春を詠む季語です。蚕豆(そらまめ)は初夏、仲夏は隠元豆、晩夏は胡瓜、初秋は藤豆、中秋は里芋、晩秋は松茸、蓬は冬など、季節ごとに野菜の季語が決められているのです。日本人が古くから、野菜に四季を感じてきたことがわかります。
 
■春はやはり筍にこだわります
 
 私どもが春にこだわるのは筍。朝どれの筍は特に香りが高く、煮物はもちろん、炊き込みご飯にしても、しんじょにしても風味が良いです。朝どれの筍は、お造りにすることもありますね。香りはお食事をさらに美味しくしてくれる極上の調味料です。
 夏は冬瓜やおくらがいいですね。形が良くて柔らかく、色もいいものを探します。茄子は色が鮮やかでハリがいいものを探しております。
 秋はやはり、王者松茸。香りといい形といい、やはり茸の王様です。炊きこみご飯に土瓶蒸しにお浸しと、和の料理人の腕が鳴る茸ともいえます。こちらもやはり、ポイントは香り。新鮮な松茸で、香りを楽しんでいただきたいと考えています。
 彩りにしても、香りにしても、野菜はやっぱり鮮度が大事。私どもは、いつも新鮮で香り高い野菜を皆様にお届けしたいと考え、こだわっております。
 
■伝統野菜をご存じですか?
 
 農林水産省のホームページによりますと、伝統野菜は「その土地で古くから作られてきたもので、 採種を繰り返していく中で、その土地の気候風土にあった野菜として確立されてきたもの」とのことです。昔の姿、形のまま栽培が続けられ、郷土の人たちに愛され、その土地の食文化を支えてきました。
 一時期、野菜の揃いが悪い、手間がかかるなどの理由から、大量生産が求められる時代にあって生産が減少していましたが、地産地消が叫ばれる今、その伝統野菜に再び注目が集まってきています。中でも、長い歴史の中で京都の風土によって育てられた京野菜は、伝統野菜の最高峰。代表的なものをご紹介させていただきますので、お近くの青果店などでご覧になったら、ぜひ試してみてください。
 
●聖護院だいこん(しょうごいんだいこん)
重さ3~4kgにもなるという大型の丸い大根です。長時間煮てもくずれず、ほんのり甘くとろけるほどやわらかいので、ふろふき大根やおでんにぴったり。文政年間に尾張の国からやってきた長大根が採種を重ねるうちに大きな丸型になったと伝えられています。京都の冬には欠かせない食材です。
 
●えびいも
京野菜のひとつとして知られる根菜で、里芋の一種です。高度な技術と手間によって仕上げられた、エビのような美しい曲線を描く形に、くっきりした縞模様が特徴です。身は粘り気に富んでよく締まり、優れた風味と自然な甘みがあります。煮ても煮崩れせず、色も変化しないので、姿煮によく使われます。
 
●賀茂なす(かもなす)
ふっくらと大きな丸なすで、正円形で直径12 ~ 15cmにもなります。1kgを超えるものもありますが、お料理では200~300g程度のものをよく使います。ツヤのある深い紫色は、さすが茄子の王様。皮は柔らかく、弾力があり、ほかの茄子と比べて油を吸いすぎません。料理長の斎藤は、賀茂なすの田楽が大好物とのことです。
 
●京壬生菜(きょうみぶな)
その名は、壬生狂言で知られる壬生寺付近、京都市内の壬生地区で栽培されていることに由来します。香りが高く、ほんのりとした辛みがあるので、お漬け物のほか煮物、和え物、サラダ、お雑煮などにも使います。葉先の伸びたものが柔らかく、いい京壬生菜とされます。
 
●慈姑(クワイ)
収穫した外観が農機具の鍬(くわ)に似ていることから、この名が付いたと言われています(諸説あります)。日本では「芽が出る」縁起の良い食物と評され、煮物にしておせち料理で食べる習慣があります。
 
しげよしは、四季折々の野菜を御献立に織り交ぜながら、大切なひとときを彩るお料理を皆様にお届けしたいと考えております。暑い夏が続きますが、どうぞお体お大切にお過ごしくださいませ。