【食材のこだわり】木の芽いろいろ【しげよし】

2018/03/29

 
春になると、植物が一斉に芽吹き出します。芽もの野菜と呼ばれる山菜もそのひとつ。
今回は、木の芽についてご紹介いたします
 
■サンショウの木の芽が多く使われます
 
一般に「木の芽」というと、サンショウの若芽、若葉を指します。サンショウは日本全国に自生する落葉低木で、3月から4月ごろ芽吹き、4月から5月頃に直径5mmほどで黄緑色の花をつけます。
サンショウの若芽(木の芽)はとても香りが良く、上品な辛味があります。後味が爽やかなので出汁などの繊細な味わいを邪魔せず、むしろ引き立たせる役割があります。そこで、お吸い物に浮かせたり、煮物の青みに添えたりなど、添え物として様々に使われます。また、木の芽を刻んでみそに入れた「木の芽みそ」は、木の芽田楽、木の芽和え、木の芽煮などにすると大変おいしゅうございます。まさに、春の味覚ですね。
5月初旬に咲くサンショウの雄花は「花山椒」と呼ばれ、おひたしや佃煮などにいたします。独特の香りで、菜の花のお浸しと似ているお味ですが、コクに深みがあります。
ちなみに、四川料理でよく使われる「花椒」(ホワジャオ)は、中国のカホクザンショウという樹木から採れる果実の果皮から作られる香辛料です。舌が痺れるような辛さがあり、麻婆豆腐や担々麺などによく使われます。「花山椒」はお花で、「花椒」は果実の果皮です。また、木の種類が違います。
日本のサンショウは、5月中旬から下旬に実を付け始めます。初期の実は香りも辛みも柔らかく、佃煮に使ったり、ちりめん山椒に入れたりします。
6月初旬から9月中旬くらいの実は、種子の殻が半分くらい白く、香り・辛みともにしっかりしています。陰干しをして、黒い趣旨を取り除いた後に粉砕すると、鰻の蒲焼きなどにかけたり、七味の中に入っていたりする「粉山椒」になります。9月~10月頃の赤く熟した実からは、黒い種子がのぞきます。
芽、花、実と、すべてが和食を彩るサンショウは、まさに「小粒でぴりりと辛い」小粋な小道具です。
 
■わらびやふきのとうなどの木の芽も美味しい季節です
 
春に一斉に芽吹くのはわらび、ふきのとう、こごみ、たらの芽、ウド。春の山菜には独特の香りと苦みがありますが、この苦みこそが春の味わいです。この苦みには、ポリフェノールやフラボノイド、タンニンといった成分が豊富に含まれていることがわかっています。
どれも抗酸化作用がとても強く、冬、あまり体を動かさない時期にため込んだ活性酸素などの「毒」を無毒化する作用があります。さらに、消化器系の働きを高めるので、解毒作用もあります。血行も良くなるので、ストレスの改善が期待できます。
昔の人が「木の芽時」に春の木の芽を食べていたのには、きちんとした栄養学的裏付けがあったのですね。昔ながらの和食の知恵には、本当に驚かされます。
山菜を食べる前にはあく抜きをしますが、あくにはこれらの抗酸化作用が期待できる成分がたくさん含まれているので、あくを抜きすぎないのがコツです。また、茹ですぎるとビタミンが損なわれてしまうので、調理にはコツが必要です。
今回は、わらびのあく抜きをご紹介します。
わらびは特にアクが強いので、丁寧にあくを抜く必要があります。わらびの倍の量の水、例えばわらび500gだったら1リットルの水を沸騰させ、小さじ1~2杯程度の重曹を入れます。このとき、重曹を入れすぎないようにしてください。
重曹を入れたらいったん火を止めてあら熱を取り、70℃くらいになったらわらびを入れ、全部お湯に浸からせた状態で半日おいてください。その後、水道水などの流水で水洗いをして絞ったら、そのままお浸しなどにしてお召し上がりいただけます。この後、再度茹でてしまうと、わらびの栄養も旨味もなくなってしまいます。
あくを抜いた後のわらびは、水に浸したまま冷蔵庫に入れて毎日水を取り替えていただくと、1週間から10日ほどもちます。ですが、徐々に旨味や栄養が抜けてしまうので、できれば2、3日以内にお召し上がりいただくといいでしょう。
あく抜きをしたわらびは、天ぷらやお浸し、佃煮にするのがおすすめです。山菜は油との相性が良いので、揚げると苦みが和らいでお子様でも召し上がりやすくなります。
佃煮にした状態なら、冷凍もできます。
 
しげよしでは、仕出しの内容やシチュエーション、季節などに合わせて、最適な木の芽や山菜を使わせていただいております。舌はもちろん、目でもお喜びいただける仕出しでございます。
ご期待以上の品質をご提供させていただくために、これからもしげよしはおもてなしの心を追求して参ります。お引き立てのほど、どうぞよろしくお願いいたします。