【四季折々】神無月について【しげよし】

2020/10/08

■「神無月(かんなづき)=10月」全国の神様が出雲に集まる月

神無月(かんなづき)は、旧暦で「10月」のこと。「神様がいない月」とも読むことができますが、全国の八百万もの神様が島根県の出雲に集まるため、近くの神社にいる神様が留守になる=いなくなる=「無」になるという意味で、「神無月」とよばれるようになったと考えられています。

ただし、神様がたくさん集まる出雲の国=島根県では、「神無月(かんなづき)」とは反対の「神在月(かみありづき)」(神様がいる=「在る」月)とよばれるようになりました。

10月は、全国の神様が出雲に集まるため、「この時期に出雲以外の神社の参拝にいくのは無意味なのでは……」と思う人もいるようです。しかし、「商売繁盛」でおなじみの、七福神の恵比寿様が留守番をしているのでご安心を。

「神無月」でも、神社に神様がいなくなるわけではありません。好きなタイミングで参拝しましょう。

■「秋の七草」は目で見て楽しむ

彼岸花が咲き始めるこの季節は、金木犀など季節の花々の鑑賞に心が和みます。

「春の七草」はお粥にしていただきますが、「秋の七草」は、目で見て楽しみます。
以下、神無月に美しい、「秋の七草」を紹介します。

⚫️萩(はぎ) 「万葉集」に最も多くよまれている花。赤紫の小花が目に止まります。
⚫️ききょう 星型の花で家紋の「桔梗門」のデザインになっています。
⚫️葛(くず) つる性の多年草。根から取れるでんぷんから葛粉ができます。
⚫️藤ばかま 花の色が藤色で、花弁の形がはかまのようであることからこの名前に。
⚫️女郎花(おみなえし) 先端に黄色い花を咲かせ、「敗醤」ともよばれている。
⚫️おばな ススキの別名で、動物の尾っぽに似ていることから名付けられた。
⚫️撫子(なでしこ) 「万葉集」などでよばれ、古来から親しまれています。

■神無月の代表的な行事を知っておこう

全国の神社から神様が集まる出雲の各神社では、神無月(10月)に
⚫神迎祭(かみむかえさい)・・神々をお迎えする神事
⚫神在祭(かみありさい)・・神々が集って話しあう神事
⚫神等去出祭(からさでさい)・・神々をお見送りする神事
以上の神事を行います。

また、10月20日には、出雲に行ってしまった神様の留守番をしている恵比寿様に商売繁盛を祝う行事である「恵比寿講」と呼ばれる行事が行われます。
東京・日本橋宝田恵比寿神社で行われ、江戸時代から始まった「べったら市」がよく知られています。(2020年は、新型コロナウィルス感染症拡大防止のため中止)

これらの伝統的な行事だけでなく、紅葉狩りやお月見など、深まる秋を感じる神無月。この時期ならではの風情を味わいましょう。