【四季折々】牡丹について【しげよし】

2021/05/16

■春から梅雨の時期にかけて美しく大きな花を咲かせるぼたん

春から梅雨の時期にかけて、バラのように美しく大きな花を咲かせるぼたん(ボタン科ボタン属)。美の象徴として、古くから、さまざまな工芸品や絵画のデザインに用いられています。
赤い花が主流でしたが、品種改良が進み、白、赤、赤紫、紫、薄紅、黄、ピンク、オレンジと豊富な色や咲き方を見せてくれます。

ぼたんは、8世紀・平安時代に中国から薬用植物として渡来したといわれています。生薬名は「ボタンピ」といい、下腹部の腫れや痛みの緩和、抗菌などの作用があるそうです。

その後、観賞用の植物としても栽培されるようになり、江戸時代には数多くの観賞用の園芸品種が生み出されました。しかし江戸時代のボタンの品種は、わずかにその名をとどめるばかりで、現在栽培される品種の多くは、明治以降に生み出されたものです。

黄色で大輪の花を咲かせる「ハイ・ヌーン」、白色の「五大州」、ピンク色の「八千代椿」などが良く知られています。

■知ってる? ぼたんと芍薬(しゃくやく)の違い

ぼたんと良く似た花に、芍薬(しゃくやく)があります。
どちらもボタン科ボタン属で、花だけみると見分けがつきませんが、2つの花には明確な違いがあります。以下、見分け方を5つ紹介します。

・ 葉っぱの形 ぼたんは薄くて大きく広がり先にギザギザがないが、芍薬は葉に厚みがあり、
先にギザギザがある。

・ つぼみの形 ぼたんは先がとがっているが、芍薬は丸い形をしている。

・ 香り ぼたんは香りが少ないが、芍薬は、バラに似た甘い香りがする。

・ 全体の見た目 ぼたんは落葉低木で、“座った姿”に見えるが、芍薬は多年草で、“立った姿”に見える。
・ 花の散り方 ぼたんは一気に豪快に散るが、芍薬は花びらが少しずつ散っていく。

■全国のボタン園を紹介!

美しいぼたんが咲き乱れる全国のぼたん園を紹介します。

・長谷ぼたん園(青森県)
東北有数のぼたん園。130種類、8000本のぼたんが植栽されています。八甲田連峰を見渡しながらぼたんを鑑賞することができます。

・つくばぼたん園(茨城県)
550種類のぼたんに加え、250種類の芍薬も咲く庭園。御年150歳の長生きなぼたんも。庭園内には池もあり、さまざまな野鳥の姿を楽しむことができます。

・上野東照宮ぼたん苑(東京都)
上野東照宮の敷地内に開園した日本庭園。春は110品種600株、冬は40品種150株が栽培されています。毎年5月上旬にぼたん祭りが行われます。

・いなべ市農業公園(三重県)
公園内の「エコ福祉広場」にぼたん園が広がっています。約5,000株のぼたんが栽培されています。園内にはパークゴルフ場や梅林公園もあります。

・ 赤名観光ぼたん園(島根県)
180品種1万株のぼたんが競い合うように咲き乱れます。山間高冷地のため昼夜の温度差が大きく、鮮やかな色が特徴です。

・ぼたんと緑の丘(佐賀県)
80種2200株の世界のぼたんに加え、30種30,000本の芍薬が栽培されています。「見晴らしの丘」から臨む花々の風景は圧巻です。

その存在感から、高貴や王者の風格といった花言葉をもつぼたん。美しく咲くこの時期に、ぜひ鑑賞したいものです。