トップページ > ブログ > 【食材のこだわり】梅について【しげよし】
2025/06/15
■今が旬の梅。青梅と完熟梅の違い■ 梅の旬は、地域や品種、そして梅の熟度によって異なりますが、一般的には5月下旬から7月下旬頃までが主な収穫時期とされています。特に、日本全体では梅雨の時期(6月〜7月)が梅の旬として認識されています。 具体的には、梅はその成熟度によって大きく「青梅(あおうめ)」と「完熟梅(かんじゅくうめ)」に分けられ、それぞれ旬の時期と適した用途が異なります。 ・青梅(あおうめ) 旬は5月下旬から6月上旬〜中旬頃。まだ実が青く、硬い状態です。 酸味と爽やかな香りが強く、食感はカリカリしています。主な用途は、梅酒、梅シロップ、カリカリ梅など。梅のエキスを抽出したり、しっかりとした食感を楽しんだりする加工品に適しています。 · 完熟梅(かんじゅくうめ) 旬は6月中旬から7月上旬頃。青梅よりも遅く、実が黄色く熟し、やわらかくなった状態です。自然に枝から落ちる「落ち梅」も完熟梅の一種です。皮が薄く果肉がやわらかで、甘みやフルーティーな香りが増します。主な用途:は梅干し。まろやかな味わいの梅干しが作れます。梅ジャムにも向いています。 ■梅仕事のすすめ 季節を感じる豊かな暮らし■ 「梅仕事」という言葉をご存じでしょうか。これは、梅の実が旬を迎えるこの時期に、梅を収穫し、梅干しや梅酒、梅ジュースなど、様々な保存食に加工する一連の作業を指します。単なる家事ではなく、日本の豊かな四季を感じ、自然の恵みを最大限に活かす季節の風物詩として、多くの人々に親しまれてきました。 ちょうど今頃、青々とした梅の実が市場に並び始めると、梅仕事の始まりを告げる合図です。梅干しを漬けるなら、完熟前の青梅を。梅酒や梅ジュースには、傷の少ない新鮮な梅を選びます。ざるに広げた梅の実を一つひとつ丁寧に洗い、ヘタを竹串で取る作業は、どこか瞑想的で、日々の忙しさから解放されるひとときです。 梅仕事の醍醐味は、なんといっても手作りする喜びにあります。家族みんなでわいわいと梅の仕込みをする時間は、かけがえのない思い出となるでしょう。 ■戦場にも欠かせなかった!梅の栄養の秘密■ 梅干しは古くから日本の生活に深く根ざし、単なる食べ物以上の存在でした。平安時代にはすでに薬として重宝され、特に武士たちの間では、疲労回復や食欲増進、解熱、腹痛などに効果があるとされ、戦場に欠かせない携帯保存食「兵糧丸」の材料にもなっていました。 この歴史的背景から生まれたのが「梅はその日の難逃れ」ということわざです。これは、「朝に梅干しを一つ食べれば、その日一日を無事に過ごせる」という意味を持ちます。梅干しの持つ殺菌作用や疲労回復、食欲増進といった効能が、経験的に広く知られていたことを物語る言葉と言えるでしょう。その健康効果は、現代の科学でも裏付けられています。 梅は、私たちの食卓を彩るだけでなく、健康を支え、季節の移ろいを深く感じさせてくれる特別な存在です。ぜひ、この夏の「梅仕事」を通じて、その奥深い魅力を再発見してみてはいかがでしょうか。