【食材のこだわり】鮎について【しげよし】

2025/06/26

■鮎の旬と「走り」「盛り」「名残」■




鮎の旬は一般的に初夏から秋にかけてとわれていますが、その味わいは時期によって繊細に変化します。6月頃の、まだ小ぶりで骨も柔らかい鮎は「走り」とも呼ばれ、内臓の苦みが少なく、身の淡白な旨味と独特の香りが際立ちます。

7月から8月の盛期には、卵や白子を持ち始める「盛り」の鮎となり、身はふっくらと脂が乗り、内臓のほろ苦さが加わることで、より複雑な風味を醸し出します。そして、9月以降の産卵期を控えた鮎は「名残」と呼ばれ、特に子持ち鮎の味わいは多くの食通を魅了します。このように、鮎は時期ごとの個性的な旬を楽しめる魚なのです。

また、鮎は、清らかな川底に生える草を食べて育つため、身に独特の芳香成分が蓄積され「香魚」ともよばれています。水質の良い、良質なコケが豊富に生える川で育った鮎ほど香りが強く、「食べると苔の味がする」と表現されることもあります。


■鮎の塩焼きの美味しい食べ方■




鮎といえば、なんといっても塩焼き。
基本の食べ方は、頭から尻尾まで丸ごと!
鮎の塩焼きは、その香りと内臓のほろ苦さが醍醐味です。新鮮で小ぶりな鮎、特に若鮎なら、頭から尻尾、骨まで丸ごと食べられます。

頭: 香ばしく焼けた頭は、パリッとした食感と凝縮された旨味が楽しめます。躊躇せずそのままいただきましょう。

身: 皮目の香ばしさと、ふっくらとした身のコントラストを楽しみます。箸で身を軽くほぐし、ワタ(内臓)と一緒に食べると、鮎ならではの奥深い味わいが広がります。

ワタ(内臓): 鮎の真骨頂ともいえるのが、このワタのほろ苦さです。好き嫌いは分かれるかもしれませんが、ぜひ一度はチャレンジしてみてください。この苦味が、身の甘みを一層引き立てるアクセントになります。

鮎の塩焼きには、たで酢(蓼酢)がよく合います。たで酢はたで科の柳蓼の葉をすり潰して酢でのばした調味料で、鮎の脂や苦味を引き締め、より一層風味豊かにしてくれます。添えられていたら、ぜひ試してみてください。


■鮎の和菓子、「あゆ菓子」を知っていますか?■




鮎の形をした和菓子・あゆ菓子を知っていますか?
「あゆ菓子」は、夏の風物詩である鮎をかたどった可愛らしい和菓子で、地域によって「若鮎」「稚鮎」「鮎焼き」などさまざまな呼び名があります。特に岐阜県や京都府の銘菓として知られています。

その名の通り、鮎の姿を模した形状で、焼きごてで付けられた鮎の目や口、尾ひれの焼き印が施されている和菓子もあります。生地は、薄く焼かれたカステラ生地やどら焼き生地が使われることが多いようです。しっとりとしたものからややカリッとした食感のものまで、お店によって様々です。お好みの「あゆ菓子」を見つけましょう。

塩焼きから和菓子まで。今の時期だからこそ味わえる鮎の風味を満喫しましょう!