【食材のこだわり】イサキについて【しげよし】

2020/06/30

■「鍛冶屋殺し」という呼び名ももつ「イサキ」

イサキは、スズメ目イサキ科に属する海水魚の一種。「イサキ」という名前は、
・ 磯にすむことから「磯魚(イソキ)」、「魚岬(イサキ)」と呼ぶようになった。
・ 背中の縞模様が5つに分かれることから「五裂(イサキ)」に由来し、「伊佐木」という漢字があてられた
など、諸説あります。幼魚は、その姿から「ウリボウ」と呼ばれています。
成魚になると、神奈川県では「クロブタ」、北陸地方では「エサキ」、三重県では「トビ」、九州地方では「イッサキ」などと呼ばれ、地方により名称が異なります。

また、伊佐木は、「鍛冶屋殺し」という呼び名ももっています。とても硬い骨に由来していて、包丁でさばくと刃が欠けてしまい鍛冶屋を泣かせたからだとか。

ブランドイサキとして、長崎県の五島列島北部で獲れる「値賀咲(チカサキ)」、紀州灘で獲れる「紀州イサキ」が知られています。

■独特の旨味があり、さまざまな料理法がある

イサキの旬の時期は、産卵直前でたっぷり栄養を蓄えた、5月から7月。

太平洋側では関東地方から九州南東部にかけて、日本海側では北陸から九州北西部にかけて多く見られ、水揚げ量がもっとも多いのは、長崎県です。

白身魚な淡白な風味ながら独特の旨味があり、さまざまな料理法があるイサキ。
代表的なものを紹介します。

●お刺身、たたき
鮮魚ならお刺身で。皮を引いて3mm程度の薄切りにしていただきます。炙りたたきはお酒のつまみに。

●煮付け
お酒とみりん、しょうゆで煮付けにしてもおいしくいただけます。

●塩焼き
塩をふって焼き、レモンとしょうゆをかければ風味がますますアップ。

●フライ、唐揚げ
3枚におろして骨を処理し、フライや唐揚げにするのも。唐揚げは、皮付きのままで
揚げましょう。

●カルパッチョ
釣りたてのイサキにすすめ。オリーブオイル、レモンとの相性も抜群です。

■イサキは釣りマニアにも人気

釣りマニアにも人気の魚・イサキ。磯場や堤防での釣りは、産卵時期と重なる6月から10月くらいまで可能です。

関東地方では、相模湾の江ノ島周辺がイサキの釣りスポットとして知られており、毎年多くの釣りマニアが訪れます。そのほか、神奈川県の真鶴漁港、千葉県の大原港、州崎港、勝山漁港などが有名です。

関西地方では、和歌山県の印南港、美浜港、加太港、三重県の石鏡漁港などが知られています。

初夏を代表する魚、イサキは、料亭での魚料理としてもひんぱんに登場します。
その風味を存分に味わいましょう。