【四季折々】春彼岸について【しげよし】

2021/03/11

■2021年春のお彼岸は、3月17日(水)から23日(火)

ご先祖様に感謝を捧げる仏教の伝統行事である「お彼岸」。春分の日と秋分の日を中日として、前後3日間、合計7日間の期間をさします。2021年の春のお彼岸は、3月17日(水)から3月23日(火)まで7日間の日程。3月20日(土)が、春分の日です。

お彼岸にはお墓参りに行きますが、このような風習があるのは、仏教国のなかでは日本だけなのだそう。「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように、季節が急に移り変わるこの時期は、古くから米作りで生きてきた日本人にとって、苗代づくりや稲刈りの目安にもなる大事な節目でした。

これらの日本独自の風習に、太陽が真西に沈むことから「はるか西方にある浄土に通じる」という仏教の教えが加わり、お彼岸にはご先祖様を供養し、お墓参りに行く習慣ができたといわれています。

■「春分の日」を決めるのは、国立天文台

春のお彼岸の中日である「春分の日」の「春分」は、「二十四節気」のひとつ。

昼と夜の長さが全く同じになり、この日を境に昼がだんだん長くなっていき、夜が短くなっていきます。冬が終わりを告げ、春の訪れが感じられるこの日を、「自然に感謝し春を祝福する日」として祝っていました。

春分の日は毎年3月20日頃ですが、それを決めるのは、国立天文台。前年の2月1日に、春分の日・秋分の日が書かれた「暦要項(れきようこう)」という小冊子にもとづいて閣議で決定され、官報(日本国の機関紙)に掲載されることによって、正式な発表となります。

宮中では、天皇が歴代天皇をはじめとする皇族の御霊(みたま)を祀る「春季皇霊祭」を行います。かつては国家の祭日でしたが、1948年(昭和23年)に、国民の祝日になりました。

■春のお彼岸にお墓参りや精進料理を

お彼岸は、ご先祖様や亡くなった家族の供養をするために、お墓参りにいきます。

また、お彼岸には精進料理を仏壇にお供えし、自分たちでいただくとされています。
「精進」とは仏教用語で、雑念をはらって仏道に勤めることをいいます。そこから転じ、「心身を慎み酒肉を断つこと」という意味にもなっています。
したがって、精進料理は、肉類を避け、野菜、穀類、海藻など植物性の材料を使った料理ということになります。

ちなみに、煩悩を刺激しないよう、ネギやにんにく、ニラなどにおいの強い食材は、植物性であっても精進料理の材料としては使いません。

普段の食事と比べると質素で味気ないように思えますが、手間をかけることで、素材本来のおいしさを味わうことができます。体にやさしい食材を使った精進料理の作り方を知り、春彼岸をおだやかに過ごしましょう。