【食材のこだわり】サヨリについて【しげよし】

2021/04/14

■春の訪れを告げる魚・サヨリ

「春の訪れを告げる魚」として知られているサヨリ。サンマと良く似たスマートな体型で、体全体が美しい銀色であることから「海の貴婦人」ともよばれています。サンマと大きく異なる点は、下あごの形状です。サヨリは上あごよりも下あごのほうが非常に長く突き出していて、先端が紅い色になっています。突き出た下あごを使ってプランクトンなどのエサをすくいとり、成長していきます。

サヨリは、美しい見た目とは異なり、腹を割ってワタを出したあとも腹の中には黒い膜があります。その様子から、「外見とは違い、実は腹黒い人」のたとえに使われることもあります。

北海道から九州まで沿岸に分布していますが、漁獲量が多いのは、太平洋側では千葉県や茨城県、神奈川県、日本海側では石川県をはじめ、北陸や山陰の沿岸部。瀬戸内海に面した香川県や広島県などです。

■長い上あごの部分が赤く腹が白いサヨリが新鮮



白身魚のサヨリは、旨味成分を適度に持ちながら脂質が非常に少なく、消化が良い魚です。たんぱく質も少なく低カロリーで、高齢者や病中の人も安心して食べられる食材として知られています。

ビタミンB群のひとつであるナイアシンも豊富に含まれており、お酒を飲んだときに顔が赤くなったり頭が痛くなったりする原因となるアセトアルデヒドの分解を助けるため、お酒のおつまみとしてもおすすめです。

魚屋さんでサヨリを選ぶ際は、
・ 長い下あごの部分が赤い
・ 背びれや尾びれに潤いがある
・ 腹の部分が白くて硬い
以上の状態のものが新鮮です。鮮度が落ちると腹部が焼けて茶色っぽく見えるようになるので注意しましょう。

■味わい方たくさん! サヨリを使った料理いろいろ

サヨリには、さまざまな料理法があります。以下、代表的な料理法を紹介します。

・ お刺身
水洗いして3枚におろしていただきます。小骨はほとんど気にならず、青魚特有の旨味を味わうことができます。

・ 酢じめ
関東の料理店などで良くだされるお品書き。酢の相性がよく、適度に身がしまりお刺身とは異なる風味を楽しむことができます。

・ てんぷら
小さいサヨリは腹開きにして骨をそぎ取り、大きいサヨリは3枚おろしにして揚げます。身がふっくら仕上がり上品な味わいです。

・ 唐揚げ
開きにしたサヨリに小麦粉か片栗粉をまぶして唐揚げに。唐揚げに甘酢をからめて南蛮漬けにしていただくのも美味。

・ お吸い物
酒と塩で味つけしたサヨリをだし汁に入れ、お吸い物に。「懐石膳の吸い物に良い」とい
う言い伝えがあります。

このほか、糸造りにしたサヨリを炊きたてのご飯にのせ、もみ海苔としょうゆをたらし、お茶をかけていただく「サヨリ茶漬け」も良く知られています。

高級魚のサヨリ。美味しく食べることができるこの時期に、ぜひ味わってみたいものです。