【四季折々】花まつりについて【しげよし】

2021/04/05

■4月8日はお釈迦様の誕生をお祝いする「花まつり」の日

「花まつり」とは、仏教の創始者であるお釈迦様のご生誕をお祝いする日。4月8日がその日にあたります。お釈迦様は、旧暦4月8日、インド・ルンビニ(現ネパール連邦民主共和国)で生まれたとされています。

お釈迦様は、生まれてすぐ、東西南北に向けてそれぞれ七歩ずつ歩き、右手は天を、左手は地を指さし「天上天下唯我独尊」と唱えたと言われています。
「生きとし生けるものは、誰もがこの世にひとつの尊い存在である」という意味です。
「誕生仏」とそのポーズは、この故事にちなんだものです。

「花まつり」はもともと灌仏会(かんぶつえ)ともよばれ、4月8日は、お寺の境内に設置された、たくさんの花で飾り付けられた小さなお堂=花御堂(はなみどう)に、灌仏桶とよばれるたらいのような器を甘茶(あまちゃ)で満たし、その中央に「誕生仏」を設置します。
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参拝者はこの誕生仏に甘茶をかけ、お釈迦様の誕生日をお祝いします。
このほか、稚児行列や雅楽、舞踊の奉納などを行われる寺院もあります。

■砂糖の400倍も甘い? 甘茶の効能

甘茶の木、見かけたことはありますか?

「アマチャ」は、ユキノシタ科のヤマアジサイの変種です。ガクアジサイに非常に良く似た美くしい花を咲かせますが、このアマチャの葉を蒸してもみ、乾燥させたものが甘茶です。

甘茶の甘さは、「フィロズルチン」「イソフィロズルチン」によるもので、「砂糖の主成分であるショ糖の400倍以上も甘い」と言われています。にもかかわらず、カロリーはゼロなので、糖尿病の人の食事療法の飲み物としても重宝されているそう。

天然の甘味料、生薬以外にも、化粧品や入浴剤などさまざまなものに用いられています。

多くの寺院では、花まつりの参列者に甘茶がふるまわれ、無病息災を祈ります。

■「花まつり」で白い象が登場する理由は?

「花まつり」の際、寺院によっては、お釈迦様の像が白い象の背中に乗っていたり、稚児行列で子どもたちが白い象をひくことがあります。

この白い象は、浄土経典「方向大荘厳」によると、お釈迦様のお母様である摩耶夫人が、6本の牙を持つ白い象が夫人の胎内に入る夢を見て、お釈迦様の懐妊を知ったという故事に基づいています。

仏教が発祥したインドでは、白い象はとても神聖な生き物と考えられており、白い象がお釈迦様を運んできたと考えられています。

花まつりの時期は、全国の寺院でさまざまなイベントが行われています。
キリストの誕生を祝うクリスマスに比べ、あまり知られていない「花まつり」ですが、お釈迦様の誕生をお祝いするのと同時に、無病息災を祈り、家族全員の命に「ありがとう」を伝えましょう。