■織姫さまと彦星さまが1年に1度だけ出会える「七夕」

「七夕」は、7月7日の夜。
織姫(おりひめ)さまと彦星(ひこぼし)さまが「天の川」をわたって、1年に1度であえる日とされています。
七夕のお話は、中国古代の民話がもとになっています。織姫と彦星は、中国では織女(しょくじょ)と牽牛(けんぎゅう)。この2つの星は、旧暦の7月7日に天の川をはさんで最も光り輝いていることから、七夕の物語が生まれました。
日本には、奈良時代に宮中儀式として伝わり、「織姫が機(はた)織りの上手な働き者だった」という内容から、手芸や裁縫の上達を願う風習につながりました。
その後仏教が伝わり、お盆を迎えるための準備として7月7日の夜に行われるようになったのが始まりです。平安時代になると、宮中行事として野菜や魚を備えて星を眺め、お香をたいて音楽を奏でたり、詩歌を楽しんだそうです。サトイモの葉にたまった夜つゆを「天の川のしずく」と考え、それで墨を溶かし梶の葉に和歌を詠んで願い事をしました。
江戸時代になると庶民の間にも広まり、梶の葉のかわりに短冊に願いごとを書いて笹竹につるし、星に祈る年中行事に変わっていきました。
■短冊は、なぜ5色? 七夕飾りの意味は?

願いごとを書く短冊の色は、青、赤、黄、白、黒の5色といわれていますが、これは、中国の陰陽五行説〜「木=青・火=赤・土=黄・金=白・水=黒」の5つの要素がこの世のすべての根源である〜から来ています。
また、笹には短冊以外にもたくさんの七夕飾りをつけますが、一つひとつに意味があります。以下、代表的なものを紹介します。
・ 折り鶴〜長寿を願い、飾ります。
・ 紙で折った着物〜紙で折った着物を飾ると裁縫が上達し、着る物に困らなくなると言われています。
・ 吹き流し〜織姫の織り糸を表します。五色を用いて魔除けの意味もあります。
・ 綱飾り〜魚を捕る網を表しています。豊作、大漁を祈ります。
■全国の有名な七夕祭り

日本の七夕祭りは、7月から8月にかけて開催されています。代表的な七夕祭りと2021年の開催予定について紹介します。
●仙台七夕祭り(宮城県) 2021年8月6日〜8月8日(予定)
日本三大七夕祭りのひとつ。200万人をこえる観光客が訪れます。開催期間中は、色鮮やかな七夕飾りが商店街をうめつくします。
●湘南ひらつか七夕まつり(神奈川県) 2021年7月1日〜30日(縮小開催)
感染予防のため、2021年は縮小開催。市内全域で、七夕まつりの雰囲気を感じることができるような催しになっています。
●おりもの感謝祭 一宮七夕まつり(愛知県)2021年7月1日〜30日(縮小開催)
駅ビルを中心に、市内各所に七夕飾りを展示。オンラインイベントを実施します。
●京の七夕(京都府)2021年7月〜8月 (オンライン開催)
感染予防のため、2021年はオンライン開催。願いごとを応募すると清水寺でのお焚き上げで天に届ける企画、七夕飾りの「紙衣」の作り方配信などを行っています。
コロナ渦が続き、大きなイベント開催は困難ですが、年の一度の「七夕」の夜。
さまざまな願いを胸に抱きながら、明るい未来に思いを馳せましょう。