【四季折々】南天について【しげよし】

2021/12/30

■魔除けの効果がある植物として知られる「南天」

寒い冬の時期に目につく、濃い緑の葉と赤い実が印象的な植物といえば、南天(なんてん)。
南天は、日本や中国などアジアに生息するメギ科の常緑低木で、古くから園芸植物として親しまれてきました。夏に白い花をつけた後に真っ赤な果実を実らせます。

南天の花言葉は、「私の愛は増すばかり」。このほかにも「機知に富む」「福をなす」「良い家庭」といった花言葉があり、贈答用としても使われています。

南天は、魔除けや火災よけの効果がある植物としても知られており、江戸時代には玄関先によく植えられていました。「鬼門」と呼ばれる南西の方角に置くのがよいとされています。

他にも、「難を転ずる」→「難転」→「なんてん」という意味合いから、お年寄りが転ぶときに寄りかかることができる木として、トイレや洗面所の近くに植えられていたこともあるようです。

■せき止め、殺菌作用などさまざまな効果がある

「南天のど飴」という商品があるように、南天の実は、咳止め効果が高い生薬として、古くから利用されてきました。

南天の実には、せき中枢の興奮をおさえてせきを鎮める働きに加え、殺菌作用、鎮痛作用により気道の炎症をおさえたりのどの痛みを和らげたりする「0-メチルドメスチシン」という成分が含まれています。この成分を利用し「南天のど飴」が作られています。

また、生の葉には殺菌作用があり、お赤飯の上に置く習慣があります。さらに、
・ 乗り物酔いには生葉をかむとよい。
・ 歯肉炎には葉の煎液を口に含むとよい。
・ 蜂にさされた時、生の葉をもんで汁をつけると痛み止めになる。
など、さまざまな作用があることでも知られています。

■お正月飾りに南天を取り入れよう

南天は、お正月飾りにふさわしい植物としても知られています。以下、取り入れ方を紹介します。

⚫️門松
年神様が降りてくる目印ともいわれる門松。竹と松のアクセントとして南天が使われることが多いようです。

⚫️しめ繩
しめ縄の「しめ」は「神様が占める場所」という意味があり、神棚、門、玄関の扉、台所や水回りに飾るとよいといわれています。一族の繁栄を願い、南天を飾ります。

⚫️生け花
部屋の中に年神様を迎える準備として、福寿草、水仙、菊、葉牡丹など縁起がよいとされる花を活けます。アクセントとして南天を取り入れましょう。

⚫️寄せ植え
華やかで縁起のよい葉牡丹、ビオラ、シクラメンなどを寄せ植えにして飾るのも素敵です。南天を入れ込むことで、お正月らしさが倍増します。

新年への願いを込めながら、自分らしいお正月飾りを楽しみましょう。