■お盆の時期は地域により異なる

先祖や亡くなった人の霊を家に迎えて供養する「お盆」。正式名称は、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といいます。日本で最初にお盆が行われたのは、推古天皇が606年に行った「推古天皇十四年七月十五日斎会」といわれており、かつては上流階級の間でのみ、執り行われてきました。
江戸時代に、供養に欠かせないろうそくが手軽に入手できるようになったことから、庶民の間でも盆が全国的に広まりました。
お盆の期間は、一般的には8月13日〜16日の4日間(旧盆)です。
しかし、
東京の一部の地域、金沢市や静岡市などの一部では新盆が適用され7月13日〜15日、沖縄県では旧暦に合わせてさまざまな行事が行われ、2020年のお盆は8月31日〜9月2日など、地域により異なります。
ちなみに、沖縄の伝統芸能として知られている「エイサー」は、いわゆる「盆踊り」で、ウークイとよばれる3日目に、演舞が披露されます。
■ご先祖様を迎え、供養し、送る

お盆は地域によりさまざまな風習がありますが、以下、一般的な内容を紹介します。
⚫️お墓、仏壇の掃除
お盆の前に、お墓、仏壇の掃除をすませます。地域によっては盆提灯を用意します。
ナスやキュウリで作った精霊馬や精霊牛(ご先祖様があの世とこの世を行き来するための乗り物)なども用意し、ご先祖様を迎える準備を行います。
ちなみに、精霊馬には、「馬に乗って早くきてください」、精霊牛には「牛に乗ってゆっくり帰ってくっださい」という意味がこめられています。
⚫️法要、お墓参り
お盆の期間中は、法要やお墓参りを行い、ご先祖様を供養します。
お盆初日の夕刻に「迎え火」を焚き、ご先祖様をお迎えします。お盆の間、ご先祖様は精霊棚に滞在すると考えられています。果物やお膳などをお供えし、供養します。お盆最終日の夕方、暗くなったら「送り火」を焚いて送り出します。
現在は、「迎え火」や「送り火」のかわりに電気式の盆提灯がよく使われています。
■大文字焼きに精霊流し。日本の有名なお盆行事

お盆の行事は地域によってさまざまですが、中でも特色のあるものを紹介します。
⚫️舟っこ流し(岩手県)
岩手県盛岡市で藩政時代から伝えられている送り盆の慣習。遺影や故人の戒名を書いた札などを舟にはり、北上川に流します。
⚫️遠州大念仏(静岡県)
静岡県浜松市を中心に開催されるお盆の行事。初盆を迎えた家を回り、太鼓の音などに合わせ念仏踊りをします。
⚫️大文字焼き(京都府)
お盆に行われる京都の伝統行事。お盆に帰ってきたご先祖様の魂を再びあの世に送り出す「送り火」と同様の意味があります。
⚫️綱引き(福岡県)
福岡県筑後市の熊野神社では、毎年8月14日に、全身にすすを塗って黒鬼に扮した子どもたちが大綱を持って町内を引き回します。
⚫️灯篭流し(長崎県)
亡くなった人の霊を精霊船にのせておくる灯篭流し。中でも、長崎県江迎町で500年以上にわたり続いている「江迎千灯篭まつり」が有名です。夕方になると、約1万個近くの灯篭が灯されます。
※ 2020年は、新型コロナウイルス感染症予防のため、これらの行事は軒並み中止、規模縮小となっています。
ご先祖様と過ごすお盆。故人をしのびながら、しっかりと供養しましょう。