【四季折々】重陽の節句について【しげよし】

2023/09/09

■9月9日は、「重陽の節句」



9月9日は、「重陽の節句」。
あまり聞きなれないかもしれませんが、五節句のひとつであり、家族の無病息災や子孫繁栄、不老長寿を願う日とされています。

由来は、中国にさかのぼります。中国では、奇数は縁起が良い陽数、偶数は縁起の悪い陰数と考えられており、陽数の最大値である「9」が重なる9月9日を「重陽」と呼び、節句の1つとしました。

日本では平安時代初めに宮中行事の1つとなり、菊を鑑賞する宴や菊を用いた厄払いが行われていましたが、時代とともに庶民にも広がり、江戸時代には五節句の1つとして人々に親しまれる行事になりました。

桃の節句、端午の節句など子どもにかかわる節句が広く親しまれるなか、「重陽の節句」はあまりなじみがない節句となっていますが、他の節句と同様、命を尊び、健やかな日々を過ごすことを願う大切な日といえるでしょう。

■「重陽の節句」では、菊の花を愛でる



重陽の節句では、一般的に以下のようなことが行われます。

・菊の花を飾る。
・菊酒や栗ご飯などの行事食を食べる。
・菊の香りを楽しむ。
・菊の花びらを湯船に浮かべて菊湯に入る。

菊の花は、秋の代表的な花であり、重陽の節句には邪気を払う力があると信じられていました。そのため、菊の花を飾ったり、菊の花びらを湯船に浮かべて菊湯に入ることで、邪気を払い、健康を願ったそうです。

また、菊酒や栗ご飯は、重陽の節句の行事食としてよく食べられていました。菊酒は、菊の花びらを日本酒に漬け込んだもので、不老長寿を願って飲まれました。栗ご飯は秋の味覚のひとつであり、重陽の節句には栗ご飯を食べて、秋の収穫を祝いました。

現在では、重陽の節句は、菊の節句として菊を愛でる習慣が残っている程度です。
しかし、古くから続く伝統行事として、菊の花の美しさを楽しみながら、健康や長寿を願う人たちもいます。

■菊の風味を楽しむのも、この時期ならでは



重陽の節句で重宝される菊の花には、さまざまな効能があります。
菊の花は、日本においては漢方として使用されており、めまいや眼精疲労に加えて、解毒や消炎、鎮静作用、高血圧などといった症状に効果的だと考えられています。

このため、生のまま食べたり、お茶や酒にしたり、料理の飾りにしたりして楽しむことができます。また、菊の花の成分を抽出したサプリメントや化粧品なども販売されています。菊のお茶は、一般的には「ほろ苦い」と表現されますが、そのまま飲むだけでなく、ミルクや砂糖を加えて飲んでもおいしくいただけます。また、ハーブティーやリーフティーとして、他のハーブや茶葉とブレンドして楽しむこともできます。

「重陽の節句」をきっかけに、菊の風味を楽しんでみませんか?